千葉大学墨田サテライトキャンパス
竣工年 | 2021 |
場所 | 東京都墨田区 [Map] |
協働 | 基本構想|墨田区企画経営室・千葉大学キャンパス整備企画室 基本・実施設計|久米設計 デザインアドバイザー|栗生明+北川・上田総合計画 |
受賞 | 2023 グッドデザイン賞 JIA 第23回 環境建築賞 優秀賞 ロングライフビル推進協会 第32回 BELCA賞 ベストリフォーム部門 |
ほぼ100年前、ヴァイマール共和国で「バウハウス」が創設された。その中心理念は「芸術と技術の統合」であり、「デザインと産業の連携」であった。われわれを取り巻く建築を中心としたモダンデザインの源流はここにある。しかし、このバウハウス運動で重要視されなかったものが3つある。①既存の事物に手を加える「リノベーション」「コンバージョン」のデザイン、②自然を含む外部空間を扱う「ランドスケープ」のデザイン、そして、③「街づくり」のデザインである。千葉大学デザイン・リサーチ・インスティテュートは、これらバウハウスが取りこぼしたデザインをも包括するホリスティックで実践的なデザインスクールを目指している。
建築設計にあたっては、空間の設えと教育プログラムの検討を同時並行して進める必要があった。千葉大学で直接的にデザインに関わる4学科(建築・デザイン・都市環境・園芸)の教官で構成されるワークショップが立ち上げられた。10回にわたって繰り返されたワークショップの後半は、墨田区、隣接する専門職大学、さらには地元中小企業、住民など地域全体に開かれていった。ここでは中小企業センターであった建築の改修・コンバージョンにとどまらず、キャンパスは街に開放され、ものづくりの街そのものがキャンパスに変容していく。
こう考えるとワークショップにおけるコミュニケーションは、街づくりの有用なデザイン手法であることが見えてくる。