みやぎ東日本大震災津波伝承館

竣工年2020
場所宮城県石巻市  [Map]
発注者国土交通省 東北地方整備局
協働施設設計:山下設計・ドーコン・栗生総合計画事務所JV
公園設計:ドーコン東北支店
照明設計:LPA
受賞2023 グッドデザイン賞
2022年 照明施設賞 東北支部表彰 照明技術賞

東日本大震災で宮城県最大の被災地となった石巻市。その中の南浜地区は、大津波と火災の延焼によって500名もの方々が犠牲となった地域です。後に災害危険区域に指定され、街の跡地は「津波復興祈念公園」として位置付けられました。
この施設は、公園内における追悼の場、震災教訓の伝承の場となる国営追悼・祈念施設です。
「国が運営する追悼・祈念施設の中核」としての象徴性を大切に考え、国内だけでなく国際的にも「被害の実相」と「復興への強い意志」を伝える役割を担う施設と捉えています。
先行していた公園の計画における「追悼の広場」と「祈りの場」のランドスケープデザインと建築が共鳴し合い、より景観としての効果が高まることを目指して配置計画を行いました。
施設形状は周辺に点在する震災遺構に全方位的に「対面性」を示すことを意図して円形としました。本施設を「祈りの場」と日和山を繋ぐ軸線上に配置することで、本施設を「第2の祈りの場」、日和山を「第3の祈りの場」と位置付け、地域全体への「祈りの繋がり」を形成したいと考えました。式典時に大雨や強風などで支障がある場合でも、屋内で対応が可能となることを想定しています。
施設の東西を結ぶ通り抜け通路は、計画地に残る震災前の街路跡を「街の記憶」として取り込んだものです。また、南側の床面に刻まれたラインは、震災発生時刻3月11日午後2時46分になると、深い庇によって床面に落ちる光と影の位置を表します。水上側の庇下の高さは、震災時に街を飲み込んだ津波の高さを示しています。建築の各所に埋め込まれた要素による記憶の伝承を意図しました。