聖林寺・休み処「聖林茶館」
国宝の十一面観音を安置する観音堂のリニューアル(2022年/設計・監理:栗生明+北川・上田総合計画)と合わせて、境内に休み処「聖林茶館」を整備する計画。桜井の小高い山の上に位置する聖林寺において、三輪山や箸墓古墳を望み、春には眼下に桜の花が広がる美しい風景を拝観者が楽しめるよう、既存の離れを修繕して新たにシンボルマークや暖簾・日除け幕のデザインを行った。
「聖林茶館」のシンボルマークは聖林寺のロゴタイプを参照し、篆書体に丸みを与えた書体をベースとしながら、より親しみやすいディテールとしている。「聖」の地の「口(くち)」にあたる部分をカップのモチーフへと置き換え、お茶処としての認知のしやすさの向上を図った。また、全体を円形で包むことで、リニューアルされた観音堂の象徴である「天蓋」を想起させるとともに、判押しのようにあらゆる媒体に展開しやすいマークを目指した。
日除け幕のデザインにおいては、「天蓋」の半円形をさらに大胆に用い、境内の奥に位置する出入口の視認性を高めている。日本の伝統色からベースカラーには柿色を採用しました。江戸時代に建てられた境内の建築群を引き立てるアクセントとなるよう意図した。