Ark館ヶ森 サイン計画
竣工年 | 2022 |
場所 | 岩手県一関市 [Map] |
事業主 | 株式会社アーク |
設計・監理 | 栗生明+北川・上田総合計画 |
協働 | ソーリツ |
製作・施工 | なんでも企画 千葉鉄工所 |
受賞 | 日本空間デザイン賞2024 入選 第58回 日本サインデザイン賞 銅賞 |
岩手県一関市の牧場 「Ark 館ヶ森」(旧・館ヶ森アーク牧場)園内のサイン計画。
これまで自家用車で巡られていた100haもの牧場を、周遊バス+徒歩による移動に転換する動線計画と合わせて行われた。
Ark館ヶ森では、家畜の排泄物や食品残さなどの循環資源を再生利用する「循環型農業」が実現されている。この「循環」の思想に基づいて、制作したサインはいずれも創業時から使われてきた豚舎の解体に伴う廃材をアップサイクル(創造的再利用)することで、建築資材の廃棄量を削減するのみならず、企業姿勢を表現し、かけがえのない牧場の記憶の継承を図っている。
豚舎の建屋の構造部材であったH型鋼は、切断後に最小限の補修を行い、園内の〈誘導〉サインの支柱とした。新しいリン酸処理亜鉛めっき鋼板の盤面との組み合わせによって新旧を対比させ、活用部材を際立たせている。
豚のゲージに敷き並べられていたコンクリート製の「すのこ」は、表裏を重ねて〈場所〉の名前を示すサインに用いた。広く豚舎で使われている規格製品が、長年にわたって豚や飼育スタッフに踏みしめられて独特な表情に変化していることに着目した。
いずれも本来の素材が持つ重さや経年により現れた部材ごとの固有性を表現しようと試みている。