HOTEL THE MITSUI KYOTO
竣工年 | 2020 |
場所 | 京都府京都市中京区 [Map] |
事業主 | 三井不動産 |
協働 | 建築:清水建設 / ランドスケープ:PLACEMEDIA / インテリア:ANDRÉ FU STUDIO, STRICKLAND / 照明:WORKTECHT&Co. JAPAN |
受賞 | 京都デザイン賞2021 京都府知事賞 2021グッドデザイン賞 |
千年の都、京都。その中心にある二条城に面し、三井総領家の邸宅跡地に建つホテルである。
その歴史文化を背景にした宿泊施設に求められるものを、「品」と「格」という言葉で表徴した。建築の外観、内観、庭、家具、什器、運営ソフトに至るまで、この地の豊かな歴史文化を受け継ぎ、未来に継承していくという、「誇り」と「覚悟」、そしてそこから生まれる「品格」を備えたものとして全体のデザインを取りまとめることが必要であると考えた。
建築の表層は、京都景観条例によって抑えられた建築の高さを、多くの水平ラインで刻むことで、伝統を積み重ねる「積層感」と大地との「親和性」を表現した。水平ラインを構成する要素として、「軒」や「庇」に加え、古来、寺院建築に見られる「地垂木」や「裳階」を援用し、さらに敷地周囲にめぐらした築地塀の意匠「定規筋」に連動させることで、重心の低い、安定感のある佇まいをつくり出し、この地での、この建築の存在感を増幅させている。
建築内外部の関係に関しては、日本人の自然観、宗教観から生まれた「庭屋一如」という考え方で空間を設えた。三井家邸宅における池泉回遊式庭園を現代的に翻案した中庭形式であるが、中庭に面するすべての空間は中庭に開くことで、風のそよぎ、水のせせらぎ、野鳥のさえずり、陽光のきらめきなどを、屋内においても感じ取れるものとした。ゲストが最初に出会うエントランスホール前面のワイドな開口部を、全開させることにこだわったのもこのためである。